2015年5月11日月曜日

RAについて:アメリカの大学院研究室の運営など

 RAは一般に,Graduate Research Assistantと呼ばれます.TAは,授業の補助を
してお給料を貰いますが,RAは研究の補助をしてお給料を貰います.
RAについて説明する前に,アメリカの大学院の研究室運営は,どんな感じだったか
ということを,少し思い出してみます.

アメリカの全ての…というわけではありませんが,大学院の結構の数の研究室が,
自分の研究室毎に予算(grant/funding/budget)を持っていると思います.
アイオワ大学でめちすけの居た研究室もそうでしたし,周りの研究室も大体そんな
感じでした.いわゆる,独立採算制に近い形です.

勿論,大学側からの研究室運営予算も支給されているんでしょうけど,その額は,
研究室の教授が外部から取ってくるfundingに対しては,少額だと考えられます.
では,研究室の運営予算を,どのようにして外部から取ってくるのでしょうか?

日本では,大学や研究機関の外部資金は

・科研費
・企業や他大学・他機関との共同・受託研究
・特許収入
・中央省庁・地方支分部局が公募する予算 etc...

といったところから取ります.
基本的に,アメリカの大学院も一緒です.
例えば中央省庁的なところで言えば,

・DoE (Department of Energy)
・DoD (Department of Defense)
・NSF (National Science Foundation)
・NIH (National Institute of Health) etc...

などから予算を貰います.
予算を貰う際には,研究計画(project proposal)を書いて取ろうとしている予算へ
応募し,相当に厳しい審査を受け,晴れて予算獲得となるわけです.

予算獲得のための審査が厳しいため,教授はその申請書類の準備に手一杯で,
予算申請前はなかなか,学生とcommunicateする時間はありません.
しかし,めちすけの個人的な感想を言えば,それはある意味仕方がないことだと
思います.

grantを取れなければ,優秀な人材(準教授,ポスドク,大学院生のRA等)を採用
出来ないし,必要経費が足りなくなって研究室が運営出来ない.
だから,研究室のボスである教授は,確実にgrantを取りに行かなくてはならんのです.
だから,その時期はどうしても,学生を相手にする時間は減ってしまう.

grantが豊富な研究室では,RA給与に加えて大学院の学費まで出してもらえます.
grantが乏しくなった研究室では,RAがクビになることは無いにしても,給与は出なく
なります.(でも当然,研究室で割り振られた仕事はやらなきゃいけない.)

しかし,生活していかなくてはならないので,何らかのAssistantshipを貰って勉強を
続けることになります.例えば

・工学部だけど,経済学部などのTAをして給与を貰う
・機械工学科だけど,医用工学科のRAをして給与を貰う.でも学位は機械工学科で...

などなど.
なので,大学院留学生活中,自分でお金を稼いで勉強したいと思うのであれば,
経済的に安定している(=金のなる木を捕まえている)研究室を選ぶのが良いのかも
しれません.

しかし,自分の専攻したい内容の研究室が,grantを豊富に持っているとは限らない
ので,なかなか難しい問題なのです.

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