博士課程を修了する年度の12月まで、がっちりTAをやりました。
5-6年目の仕事ですが、3-4年目までの
・home work grading
・office hour
・lab assistant
に加え、
・review session
ってのが加わりました。いわゆる"補習"です。
うちの教授は如何せん、頭が良すぎた。
なもんで、当人は普通に授業をしているつもりでも、"置いてけぼり感"を感じていた学生
は少なからず居たようで、中間テストや期末テストが近づくと、授業内容の復習をして
ほしいという要望が届き始めた。
で、めちすけにお鉢が回ってきたわけです。
今思い返しても、このreview sessionを受け持ったことが相当に大きかった。
これを受け持ったお陰で、
・どう分からせるか、工夫する力
・限られた時間内に、確実に分からせるプレゼン能力
が鍛えられました。そして、めちすけが今でも心がけていること:
・Be Communicative!
不安がっているめちすけに、教授がいつも言ってくれた言葉です。
一方的な授業は、やっちゃだめだ。
常に学生が理解しているかどうか、確認しながらやれよ。
学生とちゃんと、対話するんだよ。Be Communicative!
卒業後今まで数え切れない程プレゼンしてきましたが、その教えを守っている…つもりです。
では、具体的にどんな方法を取ったか。
これまでのlab assistantで散々やってはきたものの、授業内容をきちんとレビューするの
はなかなか責任が重い。教授の授業に潜り込んで、教室の後ろの方で聞いていると、
確かに色々スッ飛ばしている。("分からないポイント"を、分かっていない感じ。。。)
確かに、すごくCommunicativeなんだけど、もう少し何とかなりそう。
なので、こんな感じで準備を心がけていました。
① 数式展開も、可能な限り全部書く。
② 可能な限り現象の可視化を心がけ、身近な例を用いて説明する。
③ 敢えて板書する。(アメリカの授業は、pptスライド授業が多い)
④ 板書の色を使い分ける。
⑤ 量より質を重視した問題演習とする。
③④⑤については、ほんとに日本の予備校スタイルで、キレイに分かりやすく板書して、
その板書のコピーを後で学生に配ったりしていました。
①②について以下に書きますが、ちょっとマニアックな内容ですから、読み飛ばして
もらっても大丈夫です…
①:例えば、NS方程式を簡略化して解析解を導く問題(2次元クウェット流れ等)では、
3次元のNS方程式から入り、2次元問題にして、境界条件を与えて…という流れを
全部式で追っかけます。つぶさに追っかけることで、授業中にスッ飛ばされていた部分
が埋まり(パズルのピースが埋まっていく感覚)、理解が深まります。
②:例えば、magnus effect と言っても、分からない人には分からない。
しかも、めちすけの英語力で、ガッツリ分からせる自信もあんまり無い。
なので、授業を受けていた学生に、アイオワ大学野球部が居たので
「フォーシーム・ファストボール、説明してくれ。何故打者の手前で浮くよ?」
と言う。いい奴だったから、照れながら説明しようとするけど、どうも曖昧。
流れの方向に対してボールが逆回転(バックスピン)すると、ボールの上側の
流れは下側の流れに比べ相対的に速くなり、結果としてボール上面の圧力が下がり、
揚力が発生、打者の手前で浮く。これを、何とか説明してもらうのです。
これだけじゃ不十分だから、magnus effectで揚力出たら、飛行機飛ぶよと言って
こんなの見せます。
風向きに対して,飛行機の上に乗っている玉を,どちらの方向に回転させる
かがポイントです.飛ぶんですねこんなので...
学生もマジカヨみたいな顔してますが、それが大事なんです。
堅い話ばっかだと疲れるので、最後にこれを見せたりします。
勿論、"magnus effectだけじゃ、説明は付かんよ"と念を押した上で。
ロベカルの35mミサイルです。2010年に、この軌道の謎が解明したみたいですね。
1997年のコンフェデ杯?かな。
めちすけ自身、これを見たときは震えました。
実際授業でこれを見せた時も、"んゴーーーーーール!!!"とか叫んで、若干引かれました。
アメリカでは当時、サッカーはあまり盛んじゃなかったですよ。。。
でも学生は、スゲェCoolと言って、少なくともこの現象に流体力学が絡むことは、納得して
くれました。
ある時など、圧力計の仕組みを解説をしている時、車好きの学生がいたので
"boost gauge、お前の車にも付いてるだろ"
って言ってみたところ、あ、あれか!みたいな感じで納得してもらったり。
そいつは日本の車もよく知っていて
"ハチロク"
とかポツリと言ったりするので、"日本では豆腐屋があれ乗るんだよ"とウソ吹き込んだり
してました。(そしてそれをウソと見抜かれたりね…)
工学というのは、理学よりももう少し、実用に近いことをやる学問です。
なので、学んだことがこんなところに生かされてるのか!と、いうことを常に意識しながら
勉強することが、学生にとっても教員にとっても、大切です。
目で見て覚えるからこそ、忘れにくいのです。
もう10年近く前の話で、当時の学生も20代後半-30代前半でしょう。
工学の道にどれだけ進んでくれたか分かりませんが、流体力学に関わる仕事をしている子
が居るとすれば、
"アイオワ大学の流体力学の補習、何か日本から来たTAいたな。んゴール!とか叫んで、
変な奴だった。あれ何だっけ、magnus effectの解説だっけ…"
って記憶が残っていてくれれば、TA冥利に尽きるんですけどね。
5-6年目の仕事ですが、3-4年目までの
・home work grading
・office hour
・lab assistant
に加え、
・review session
ってのが加わりました。いわゆる"補習"です。
うちの教授は如何せん、頭が良すぎた。
なもんで、当人は普通に授業をしているつもりでも、"置いてけぼり感"を感じていた学生
は少なからず居たようで、中間テストや期末テストが近づくと、授業内容の復習をして
ほしいという要望が届き始めた。
で、めちすけにお鉢が回ってきたわけです。
今思い返しても、このreview sessionを受け持ったことが相当に大きかった。
これを受け持ったお陰で、
・どう分からせるか、工夫する力
・限られた時間内に、確実に分からせるプレゼン能力
が鍛えられました。そして、めちすけが今でも心がけていること:
・Be Communicative!
不安がっているめちすけに、教授がいつも言ってくれた言葉です。
一方的な授業は、やっちゃだめだ。
常に学生が理解しているかどうか、確認しながらやれよ。
学生とちゃんと、対話するんだよ。Be Communicative!
卒業後今まで数え切れない程プレゼンしてきましたが、その教えを守っている…つもりです。
では、具体的にどんな方法を取ったか。
これまでのlab assistantで散々やってはきたものの、授業内容をきちんとレビューするの
はなかなか責任が重い。教授の授業に潜り込んで、教室の後ろの方で聞いていると、
確かに色々スッ飛ばしている。("分からないポイント"を、分かっていない感じ。。。)
確かに、すごくCommunicativeなんだけど、もう少し何とかなりそう。
なので、こんな感じで準備を心がけていました。
① 数式展開も、可能な限り全部書く。
② 可能な限り現象の可視化を心がけ、身近な例を用いて説明する。
③ 敢えて板書する。(アメリカの授業は、pptスライド授業が多い)
④ 板書の色を使い分ける。
⑤ 量より質を重視した問題演習とする。
③④⑤については、ほんとに日本の予備校スタイルで、キレイに分かりやすく板書して、
その板書のコピーを後で学生に配ったりしていました。
①②について以下に書きますが、ちょっとマニアックな内容ですから、読み飛ばして
もらっても大丈夫です…
①:例えば、NS方程式を簡略化して解析解を導く問題(2次元クウェット流れ等)では、
3次元のNS方程式から入り、2次元問題にして、境界条件を与えて…という流れを
全部式で追っかけます。つぶさに追っかけることで、授業中にスッ飛ばされていた部分
が埋まり(パズルのピースが埋まっていく感覚)、理解が深まります。
②:例えば、magnus effect と言っても、分からない人には分からない。
しかも、めちすけの英語力で、ガッツリ分からせる自信もあんまり無い。
なので、授業を受けていた学生に、アイオワ大学野球部が居たので
「フォーシーム・ファストボール、説明してくれ。何故打者の手前で浮くよ?」
と言う。いい奴だったから、照れながら説明しようとするけど、どうも曖昧。
流れの方向に対してボールが逆回転(バックスピン)すると、ボールの上側の
流れは下側の流れに比べ相対的に速くなり、結果としてボール上面の圧力が下がり、
揚力が発生、打者の手前で浮く。これを、何とか説明してもらうのです。
これだけじゃ不十分だから、magnus effectで揚力出たら、飛行機飛ぶよと言って
こんなの見せます。
風向きに対して,飛行機の上に乗っている玉を,どちらの方向に回転させる
かがポイントです.飛ぶんですねこんなので...
学生もマジカヨみたいな顔してますが、それが大事なんです。
堅い話ばっかだと疲れるので、最後にこれを見せたりします。
勿論、"magnus effectだけじゃ、説明は付かんよ"と念を押した上で。
ロベカルの35mミサイルです。2010年に、この軌道の謎が解明したみたいですね。
1997年のコンフェデ杯?かな。
めちすけ自身、これを見たときは震えました。
実際授業でこれを見せた時も、"んゴーーーーーール!!!"とか叫んで、若干引かれました。
アメリカでは当時、サッカーはあまり盛んじゃなかったですよ。。。
でも学生は、スゲェCoolと言って、少なくともこの現象に流体力学が絡むことは、納得して
くれました。
ある時など、圧力計の仕組みを解説をしている時、車好きの学生がいたので
"boost gauge、お前の車にも付いてるだろ"
って言ってみたところ、あ、あれか!みたいな感じで納得してもらったり。
そいつは日本の車もよく知っていて
"ハチロク"
とかポツリと言ったりするので、"日本では豆腐屋があれ乗るんだよ"とウソ吹き込んだり
してました。(そしてそれをウソと見抜かれたりね…)
工学というのは、理学よりももう少し、実用に近いことをやる学問です。
なので、学んだことがこんなところに生かされてるのか!と、いうことを常に意識しながら
勉強することが、学生にとっても教員にとっても、大切です。
目で見て覚えるからこそ、忘れにくいのです。
もう10年近く前の話で、当時の学生も20代後半-30代前半でしょう。
工学の道にどれだけ進んでくれたか分かりませんが、流体力学に関わる仕事をしている子
が居るとすれば、
"アイオワ大学の流体力学の補習、何か日本から来たTAいたな。んゴール!とか叫んで、
変な奴だった。あれ何だっけ、magnus effectの解説だっけ…"
って記憶が残っていてくれれば、TA冥利に尽きるんですけどね。
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